Essai 2014年 1月






307.久しぶりに日本で正月を・・・

(1月1日更新)

 前回書いた様に博物館改装やらなんやらで、カウントダウンパーティもなく、12月30日にカナダを発ち、大晦日に日本へ。日本で向かえた正月は10年ぶりくらいだろうか?ここ数年何となく運気が落ちている傾向・・・と言っても私も日本の家族も取り合えず健康に過ごしてきたから、左程不運と言う程ではないが、今年は良い方向に行く・・・様な気がしている。勿論そうなる様に色々やって行きたいと思う。
 両親の家の小さな神社ではあるが、元日初詣も本当に久しぶり。やはり日本人だなあと実感する。大晦日の夜には家に着いたので紅白歌合戦も途中までは見た。例によって時差ボケで途中で寝てしまったけど。
 もっとも日本の飲食業界に目を向けると、昨年末から大問題になっているアクリフーズの農薬混入問題や、相変わらずの食品偽装問題など正月早々暗い話題が多いのは事実。
 日本全体としてはしかし東京オリンピックが決まった事で大分明るい雰囲気が漂っている。まだ先の話だし、準備には随分と物入りであろうが、既に浮かれムード。やはりオリンピックと言うのは凄い影響力を持っていると改めて実感する。
 以前フジェールでソーシェをやっていた時忙しい最中に当時の部下が「ちょっと2階のテレビでオリンピック中継見てきていいですか?」なんてとんでもない事を言い出して呆れて止めた事もあった。今ならスマホとかでこっそり視るんじゃないだろうか。そう言えばリレハンメル以来夏冬両方で10回のオリンピックをこのケベック州の自宅で見てきた事になる。間もなく11回目のソチが控えているし。唯一途中から一時帰国中の日本で視れたのはバンクーバーだったのだから皮肉だ。
 戦後日本のフランス料理の復興に大きく貢献したのも村上信夫シェフ等が活躍した前回の東京オリンピックだったし、夢よもう一度・・・となれば良いのだが。


308.思えば遠くへ・・・

(1月13日更新)

 昨晩は学生時代の仲間達4人で飲みに行った。多少コンタクトは取っていても殆ど皆30年近く会っていなかった。社会に出てからの年月もそうだが、日本での暮らしより外国生活の方がはるかに長くなってしまっている事にも我ながら驚く。もっとも学校に通っていた時代・・・それも小学校より中学校、中学校より高校とだんだん時の流れが加速し、30歳を超え、40歳を超えれば月並みながら光陰矢のごとしという以外ない。そう考えれば単純に長さだけでは測れない事も事実だ。実際小学生にとって「ひと月待ちなさい」と言われれば果てしなく先の約束に思えたものだが、今は「そう言えばこの間・・・」などと話して、良く考えると「この間」とは5年ほど前だったなんて事がよくある。私のこのページを小中学生が読んでいるとは思えないので読者は共感してくれるのではないかと思うが、5年前イコール2009年、10年前イコール2004年と改めて思ってみると唖然としないだろうか。2004年と言えばフジェールからカフェ・アンリー・ブルジェに移った年である。だとすると、5年前どころか、10年前も「ついこの間」と言ってしまいそうになる。
 うかうかしていると本当に人生を無為に過ごしてしまいそうになる怖さがある。


309.ヒューゴにエールを。

(1月22日更新)

 ヒューゴとチャーリー、ジェニファーにお土産を持ってきたので、一緒にまとめる様で悪かったが、今日ヒューゴとフジェールで食事を取り、その前に隣の店・・・と言うか、既にそれに付随する工場と言える規模の所で商品を生産しているチャーリー&ジェニファーと話をした。全く何時の間にかフジェールは1つのブランドになり、かなり遠くのスーパーマーケットなどでも商品購入が可能となっている。レストランだけでほそぼそとやっていた頃、いやそれどころかトロント時代夫婦2人と私の3人しかいなかった厨房を知っている私にとっては驚き以外の何物でもない。今や従業員も40人を超え、チェルシー町の高額納税者番付ではダントツの1位ではないかと思う。
 ヒューゴが気を使って奢ってくれたが、彼には色々プレゼントを貰ったきりになっているし、何しろ日本人的には後輩にそこまで気を使わせてしまうのはかえって困るところだ。まあ次にこっちが払えばいいか。
 ヒューゴは毎年挑戦しているコンペテーションの準備に余念がないようだ。彼に強く頼まれているし、なるべく大会前の練習には付き合いたいと思う。今大会は優勝すればその後の全国大会が地元ガティノーで行われる為、今年こそ何とか勝ちたいと燃えている。勿論故郷に錦を飾りたいと言う思いは万国共通のものだけに、今大会には前回前々回のチャンピオンも揃って出場するらしいからレベルの高い大会になるだろう。しかし、あの世界一のソムリエールとなったヴェロニクだって、地元の大会に何度も挑戦し続けた末に高みに上った事を考えれば、彼なら十分チャンスはあるだろう。


310.寒さのピーク。

(1月28日更新)

 この冬は少なくともここ10年くらいは経験していなかった厳しさで、積雪量も多いが、いよいよ寒さも頂点に達した感じで、零下35度Cなんて日まである。底も凄いが、最高気温零下26度Cという凄まじさ・・・ちょっと聞いて「零下26度Cですか。それは寒い」などと早合点される日本人もいるかもしれない。零下26度Cが凄まじいのではなく、それが最高気温だという所が問題なのだ。日本のインターネットラジオを聴いていると「寒いと思ったら今朝5度Cですよ」「ええ?道理で寒いと思いました」などという会話がよく出てくるが、この辺でプラス5度CならTシャツと短パンで「春めいてきた!」と言いながら表に飛び出して浮かれている人が大勢出てくる(実話)。
 例の世界一長い天然スケートリンクなどはさぞ楽に凍って管理が楽だろうと思ったが、滑りに行った友人の話では、あまりの寒さに亀裂が走っている箇所が見られたと言う。正に過ぎたるは尚・・・と言う所か。