Essai 2013年12月


304.久しぶりに日常の話題

(12月8日更新)

 まったくこの冬はよく雪が降る。天気が良くなれば気温が下がる・・とかなりシビアだ。去年と違い12月前半は相当な忙しさだ。だが、後半は逆にまるで暇、前の会社Comassグループ時代には毎年入っていた年末カウントダウンのパーティすら入っていない。一番最後の大口バンケは15日、これは戦争博物館で500人超の着席クリスマスディナーだから相当な規模だが、その後はパタッとという感じ。年明け最初の一週間は例年博物館内のメンテナンスで1週間閉めるが、今回は2週間閉じている状態で最初の宴会は1月15日。ここ数年毎年1月のメンテナンスに合わせて帰国していたが、今回は延期の心積もりでいた。しかしどの道仕事がないので結局大晦日から1月14日まで帰国する事にした。カウントダウンパーティが無いだけに日本で年越しができるのは有り難い。
取り合えず今は後半とは極端に違い、12月1日以来毎日クリスマスパーティが数件入っていて忙しい。まあクリスマスが日本の正月と同じ様な・・・少なくとも伝統的には実家に帰って家族と過ごす時期だから、今頃がまさに日本の忘年会シーズンみたいな日々だと考えてもらえば分かりやすい。
 特に冒頭にも書いた様に11月の初め以来雪が降る様な冬模様だと早くから年末気分というかクリスマスホリデー気分になるものらしい。こんな天気の日が多いと地下駐車場から地下駐車場に通い、全く外に出ることも無く通勤できる今は有り難い。チェルシーの田舎から更に田舎のウエイクフィールドに毎日通っていた頃は行きも帰りも車の雪下ろしに時間を費やし、雪や凍結した田舎道で何度もヒヤッとさせられたものだった。隔世の感と言ったところか。


305.冬は長いが・・・

(12月15日更新)

 瞬く間に今年最後の大口宴会も無事終了した。毎年の事だが、12月の頭・・・どころか11月の終わりくらいから毎日テレビ、ラジオから流れるクリスマスソングにうんざりしてくるのもこの頃だ。
 先月初めてカナダに来た頃の話をいろいろ書いたが、この国で初めて冬を経験した時は寒さより、その暗さに参ったものだった。元々寒いのは結構平気なので寒さは心配していなかったし、当時はカナダ随一の大都会トロントに住んでいたから地下鉄、路面電車、バスで何処へでも行けたからそういう方面の心配も無かった。しかしこの暗さは想定外だった。雪が降らなくても曇った日が圧倒的に多いが、それ以上に日照時間の短さ。一番短い時季、つまり今頃だと朝の8時になっても未だ暗く昼の3時半頃にはもう暗くなり始めたりする。夏は逆に朝の5時くらいから夜の10時近くまで明るかったりするからそのギャップに驚いたのだ。この辺の事情はカナダ東部に共通したものだからオンタリオ州のトロントも今居るケベック州も変わりはない。
 ただ、寒くて暗い冬と言っても、日照時間の短い時季と寒さがピークに達する時季にはずれがある。年末の今頃日は短いが年が明けるとだんだん日が伸びてくる。ところが寒さが本格化するのは寧ろ年明け。前にも書いたが、暖冬の時は年が明けるまで殆ど雪が降らない事もある。河川も勿論今から凍っているが、何十人、何百人も氷の上に乗って安全な厚さになり天然のスケートリンクとなるのは年明けだ。オタワ川の世界遺産リドー運河にこれまたギネス認定世界最長の天然スケートリンク(約7.8キロ)が出現するのもこの頃、料理人としては引退された神林さんが今も中心となっている氷の彫刻フェスティバルも同時期。
 寒さは厳しくなっても少しずつ明るくなっていく年明け以降の方が私は好きである。


306.ホリデーシーズン色々

(12月29日更新)

 前回クリスマスソングにうんざりしてきた話を書いたが、日本でこれを読んでいる方はおそらくすっかり終わった頃だと思っておられるだろう。まだまだ。
 11月の終わり頃から鳴り始めるクリスマスソングは1月の初旬まで続く。年々長くなっていく様だ。まあ、こちらでは1月1日ニューイヤーズデイをもって一応ホリデーシーズンは終わる。1月2日からは平日だ。しかし、今回は後述するこちらの事情もあって予約を受けていないが、年が明けてからクリスマスパーティをやるお客様も結構多い。新年会ではなくクリスマスパーティである。そういうパーティの際は別として、さすがにクリスマスから数日経った今頃“Merry Christmas!”やら“Joyeux noel!”やらの挨拶をする人はいないが、「良い(ホリデー)祭シーズンを」的な挨拶は相変わらず交わされる。年も押し詰まってきたので、“Happy New Year!” “Bonne annee!”の挨拶も多い。これ等は日本では「明けましておめでとう」の訳語で扱われるので、日本で言ったら「年も明けてないのに」と笑われそうだが、「良いお年を」も同じなのだ。いや、フランス語の“Bonne annee!”の方など文字通り訳せば「良いお年」そのものではないか。むしろ共にカウントダウンを迎えた場合“A la nouvelle annee!”と言ったりするが、こっちの方が「明けましておめでとう」に近い気がする。こういう挨拶や先のホリデー・・・云々は宗教に関係ないから誰にでも気軽に出来るが、クリスマスの挨拶は注意が必要なのが、多人種の国カナダらしい。かつて居たヨーロッパ、イギリスなどでは相手もクリスチャンと言う前提で平気でクリスマスの挨拶が交わされていた記憶がある。カナダでは私に対しても知り合いでなければ(あるいはこちらから言わなければ)滅多にクリスマスの挨拶はしない。実際私は3歳でキリスト教の洗礼を受けているのだが、そうでなくともおそらく日本人で「メリークリスマス」と言われて怒る人はまずいないのではないだろうか。
 ところでこの1月は諸般の事情から休暇を取らず、別の機会にするつもりだったが、1月1日から14日までどの道改装の為閉める事になってしまった為結局今回もそれに合わせて日本に行く事にした。明日発って大晦日に到着14日中にこちらに戻るつもりだ。今回例年と違いカウントダウンパーティすら入っていないので久しぶりに日本で年越しできるのは重畳だ。しかし宴会やビストロはともかくカフェテリアは2週間どころか、なんと2ヶ月閉めて大改装を行うらしい。カフェテリア所属の人たちは全員レイオフ・・・所謂一時解雇という悲惨な状態。失業保険で給料の50パーセントは貰え(週25時間以内ならこれをもらったままアルバイトもできるので需要があれば普段の収入を上回る可能性もないではない)、改装後は戻れるとは言え、転職する人も多いのではないだろうか。カフェテリアは全ての設備がまだ新しく改装の必要など、そもそも全く無い。個人経営の店なら100パーセント有り得ない措置だ。そこが国立博物館、日本でもよくある事だが予算という名の税金の成せる技である。