Essai 2013年7月


294.今年もカナダデ-は・・・

(7月1日更新)

 去年の7月最初の更新タイトルは「建国記念日は今年も」であった。あれから一年。まったく状況が変わってないのには我ながら呆れる。カフェ・ド・ミュゼの料理長だった時は当然としても、その前の年も含め、何故かこの博物館に来て以来4年連続現在はパノラマ ラウンジと名を変えたこの元レストランの建国記念日イベントは私が担当してきた。
 他は忙しいとは言えカフェテリアの中と外でバーベキューとファーストフード的メニューを出すだけの簡易メニュー。これに対しパノラマの方は日本円で数万円と言う高級宴会で花火前に食事を済ませる為にバイキング形式の所に200人のお客様がずらっと並んで毎年改善しようのないラッシュ。こっちの宴会にこそ一番忙しい時間帯だけでも4〜5人まわしてもらったって良いくらいだろうと思うのだが、現実には毎年投入人数が1人ずつ減って?今年は何と私1人で担当した。
 結果として去年同様世話役の方から、お客様から料理に対して高い評価を頂いたと伝えられ、ほっと胸をなでおろした。しかし流石に短距離走がごとき忙しさではあった。
 本来この宴会は最高のロケーションで花火が眺められるのが唯一の特権だが、毎年内容が変わらないし、今年は花火が始まる直前に仕事を終えて急いで帰宅。今度の住居はやや距離はあるものの花火が十分見られるので、7階の自宅ベランダから、辛うじて間に合って見る事が出来た。これをやってみたくて急いで帰宅したのだからまずは良かった。
 ついでだから、一昨年のこの時季のエッセイもチェックしてみたら、そうか・・・あのロイヤルカップルがオタワに来た時だった。あれからもう二年ということか・・・


295. 外国の習慣

(7月8日更新)

 6月の忙しさを今の所未だ引きずっている状態だが、この2週間くらいでまた暇になると思われる。8月には少し回復しそうだが、何れにせよ今年も最多忙の時期は終わったというところか。6月は卒業パーティで7月は結婚式・・・みたいな住み分けがあれば楽だが、それは商売人の勝手というもの。ジューンブライドで幸せになりたいと6月に結婚式が集中するのは当然の話だ。日本のこの業界ではニッパチ・・つまり2月と8月が暇になりやすいが、流石にこういうのは世界共通とはいかない。 
 例えば前述のジューンブライド。これなんか今は日本でもすっかり定着したが、元々梅雨の6月に結婚式が減るのを懸念して、日本のホテル業界がヨーロッパのジューンブライドを喧伝したのがきっかけと聞く。ジューンブライドの起源については諸説あり、その中の一つに「ヨーロッパでは最も気候の良い時期だから」というのもある事を思うと皮肉な話ではある。カナダでも6月は雨が多く蒸し暑い日本の梅雨に似た季節なのだが、そう言えばヨーロッパのこの時季は快適だったような記憶もある。
 さっきは商売人の勝手などと書いたが、日本では欧米の習慣を商売に使ってきた例は枚挙にいとまがないだろう。バレンタインデーでチョコを渡す習慣は私が小学生の時ですら既に定着していたが、義理チョコなんて未だ普及していなかったと思うし、ましてや日本が勝手に作ったホワイトデーなんて出来たのは私が高校生くらいの時だった筈だ。以前一時帰国の時福岡市に行く事があって、当時付き合っていたカナダ人女性にお土産を買おうと土産物屋に寄ったらその日がたまたま3月14日であった為、店員さんから「ああ、バレンタインのお返しですね。義理チョコでしたら、こういうもの・・本命でしたら・・」などとこっちが否定してもしつこく勘違いされた事があった。私の方は言われるまでその日がホワイトデーだと言う事すら失念していたと言うのに。結局辟易して何も買わず、その後、同市の石村萬盛堂という店に行ったら「ホワイトデーは当店から始まりました」と誇らしげな由緒書きがあり、「ここが元凶か!」(別に個人的恨みはないが)と思ったものだ。欧米では男女問わずバレンタインデーにプレゼントやカードをやり取りしたりデートしたりする。
 別に日本は日本で独自に記念日を変えていっても良い訳だが、日本国内に居てさえも外国人との付き合いが増えてきた昨今では、オリジナルの風習は知識として知っていた方が良いとは思う。
クリスマスは25日であってイブはあくまで前の日に過ぎないし、実家に帰って家族皆と過ごす日だというような基礎的な事くらいは・・・。


296.今年の夏は過ごし易い・・・が。

(7月31日更新)

 今年はまあ去年の猛暑から考えると寧ろ冷夏と言って良いだろう。日本では猛暑だそうだから、今年の夏にこちらを訪れれた方は、「やはりカナダの夏は過ごし易い」といった感想を持たれるのではないだろうか。まさか去年のように日本顔負けに摂氏40度前後を彷徨い、更にはこれまた日本同様蒸し暑いと言うのは中々想像できないと思う。
 無論今年だって蒸し暑い日は何度かあった。いや、未だ夏が終わった訳ではないし、これからもあるかもしれない。大体日本からカナダの東海岸を旅行で訪れる方は1日2日しか滞在しない事が多いので、来た日によって感想が違うかもしれない。私がこの地に来て17年の間で一番最悪だった夏は5月から9月の終わりまでまるで気温が下がらず、毎日の様に蒸し暑い熱帯夜が続いた。
 そもそも冬に夏に摂氏40度前後になり、冬に零下40度近くまで下がる過酷な環境は世界でもそう無いだろう。何度も書いたが、オタワは首都としてロシアのモスクワより寒い事で知られるのだから。
 ようやくネット環境も整ったし(未だこのサイトの増えすぎた容量をどうするかは解決していないが)、少しずつエッセイらしく色々書いていくつもりで、前回のカナダの習慣の話に続き、今更ながら天気の事など論ってみたが、あらためて凄い所に住んできたものだと思う。これがアフリカだのモンゴルだのだと、わざわざ言わなくても過酷さを想像できると思うが、こののんびりしたカナダの首都圏に、まとわり付いた氷の重みで電信柱がなぎ倒されて大停電になったり、そうかと思えば日本の夏同様の熱射病対策が必要になったりするもう一つの顔がある事は旅行で数日訪れただけでは、まったく想像できないだろうと思う。