エッセイ 2010年6月
189.成長する若者達に。
(6月30日更新)
あまりの忙しさにとうとう一回も更新しないまま今月が終わってしまった。今日が最初で最後の更新と言う事になる。結婚式もだが、この2週間近くは毎晩2〜4件の卒業パーティが入っていて、それぞれ300名程度。週末の土。日などそれぞれ披露宴と卒業パーティが4〜5件ずつ入っていたのだが、時間が微妙にずれていた為私は二晩共3箇所掛け持ちし、移動しながらメインコースを仕上げた。何にせよ、結局6月はまるで休みが無かったし、この2週間は1日残らず終日仕事をしていた。しかも相変わらず帰宅後もパソコンに向かって先のスケジュールを調整すると言う有様。流石にこのページの更新まで廻らなかった・・・いや、未だ終わった訳では無く、今日とて例外では無いが、やはり1回くらいは無理にでも更新しておかないと格好がつかないので睡眠時間を削ってちょっとだけ書く事にした。実は先週だったか(先週だか先々週だかもう忘れているくらいだ)モントリオールのコミュニティ誌「ブレテン」にケベック州料理人協会の枠で会長と交代で連載させて頂いているエッセイの締め切りがきてしまい、こっちの方は穴を開ける訳にも行かないので、15分で書いたが、皮肉にも何時もと違って校正で直す所が殆どなかったらしい。ちゃんと考えて書かない方が良いという事なのか(苦笑)。
ずっと更新していなかったのだから書く事は尽きないが、どんどん睡眠時間がなくなるし、明日も勿論早朝から深夜までの仕事になる筈だから短く止めておく。
ただ、今日を最後に部下のラファエルが他店に転職(シェフである彼の奥さんが働いているとの事で)する為に去った事は特筆しておきたい。相変わらず毎日のように新しいスタッフが加わっては消えたりして、この数ヶ月の間何十人ものスタッフが私の下で働いてくれたが、ラファエルは毎日私の隣を自分の定位置に決め「シェフNaki、シェフNaki」と慕ってくれて実に役に立ってくれたし、短い間だったが大きく進歩した。近い将来良いシェフになるだろう。英語が全く理解出来ないのに、私の下手くそなフランス語を聞いても一を聞いて十を知ると言う感じで意を汲んで動いてくれた。
何時も思うことだが、コミュニケーションは言葉に因らないとつくづく感じる。他のスタッフもすぐに辞める子はともかく、残る子は皆長所も短所もはっきりしていて面白い。前にここで書いたときとは違い、今は誰に何を任せたらいいか迷う事は無い。ただ、いつも得意な仕事をやってもらったり、逆に苦手な仕事は他の出来る人に回したりしていたのでは、成長しないから、そこは考える様にはしている。思えばここに面接に来た時ジョルジュから、「ここはシェフクラス以外は経験の少ない子が多いが、仕事は覚えたいと言う気がある子ばかり雇っているから、よろしく頼むよ」と言われた。その頃とメンバーは変わっているが今もその傾向は変わっていないと思う。
フジェールなどは職場の雰囲気が楽しくて長く残るスタッフが多かったが、効率の為に同じ仕事を何ヶ月どころか、何年もさせているから、全然人が育たないのが残念だった。カナダでは日本と違い、料理も勉強は学校で学ぶと言うのが基本だがやはり経験は実際の職場で身について行く事に変わりは無い。