186.平和の象徴?
(5月3日更新)
完全にシーズン突入で、結局この3週間程休みを取っていない。予定表には相変わらず週に1回は休みの日がどこかしらに挿入されているのだが、実際には一切関係無い。今週など何を血迷ったか、火、水、木と日本の連休に合わせたかの様な?3連休のスケジュールが書かれていたが、現実にはそのうちただの1日として休める状態では無い。それどころか火曜、水曜は朝早くから夜遅くまでとなるだろう。マイケル曰く「Nakiの予定は一々考えて打ち込んでないから、覚えてないよ。バンケがある限り出勤なんだから」との事。週のうち1日や2日はバンケの無い日もあったりするが、翌日数百人の予約が複数入っているのが普通だから、せいぜい「仕込みの時間が十分取れるな」と言う程度だ。
他所の博物館への出張も増え、戦争博物館など週の半分くらい行く事もある。出張となると撤収して帰ると深夜過ぎになる事も多く、翌朝また8時出勤とか、ドイツ時代のシフトに迫る勢いだ。例の安全の為週40時間程度に抑えるとか言う会社の新方針はカフェテリアの従業員辺りには適用されている様だが、こっちは70時間を越えている。まあ、それでも100時間を越えたドイツ時代にはまだまだ届かない訳だ。週100時間を越えるシフト・・・ここまで来るとやはり危険はあるかもしれない(苦笑)。
シーズンともなればカフェテリアやレストランも忙しく、ムサやルイもそっちにまわっている。恭子さんは他所の仕事が手一杯で全然こちらには来れない様だ。そんな訳で何人かバンケに新メンバーが加入した。ニコラとラファエル、パートタイムのアランなどだ(他にも試しに来てみて1日2日で消えていく人達がいたりするので「など」と書く)。ニコラは前にもここで働いていた様だし、ラファエルも調理師学校を卒業したばかりだが、研修で来ていた事があるらしく、ある程度勝手は分かっている様だ。ニコラは動きは中々良いがよく喋る(笑)。ラファエルは素直でよく指示に従ってくれるし、学校を出たばかりとしては仕事も出来るが、英語は全く解しない。フランス語しか分からない人間と英語しか分からない人間の両方が参加している為、ミ−ザンプラースのリストもバイリンガルで書いておかなくてはならず、面倒だ。まあ、段々新しいチームが出来ていくだろう。
一昨日は戦争博物館でロシア大使館の500人程のパーティがあり、今日はポーランド大使館の600人のパーティが文明博物館で行われた。こういうのを見ていると、我々の様な仕事が忙しいのは平和で結構と言う事かもしれない。かつて亡命して苦労した複数のポーランドの友人達の祖国への慕情を思い出す。そのうち北朝鮮のパーティを受ける日もくるかもしれない。
187.新人達の季節。
(5月10日更新)
前回書いてから更に5人程新人が入った。その内2人は自然博物館のカフェテリアがオープンしたら、そちらに廻る予定だから、未だ人数は増やす予定だ。宴会場の常で6月、7月は結婚式を中心にどれだけ忙しくなる事か。今でも十分忙しく、特に500人、600人と言った大口もいい加減慣れるくらい頻繁に入る。1000人を超えるものは流石に少ないが。
先日など新人3人が同じ朝に加入。翌日文明博物館と戦争博物館にそれぞれ数百人ずつ入っていたので仕込みが山ほどあった為こんなスケジュールになった。1日一緒に仕事しても私自身やる事が山ほどある中5分毎に(ラファエルや、ニコラなども未だ知らない事が多いし)誰かしら何かを聞いてくるので遅々として進まなかった。翌日の本番についても、「帰る前に全員の翌朝の仕事を割り振るようミーティングをしておいてくれ」とマイケルから指示されてそうしたが、正直1日一緒にに仕事しただけで数人の力量を一気に把握出来る能力など私には無い。ジョルジュなどはこんな場面でいつも全員の動きを目の端で追っていて、1日一緒に仕事すれば翌日には適材適所に配属を決める手際の良さを何度も見せてくれたものだ。彼は大厨房組織のシェフになる為に生まれてきた様な男だ。私もこの世界に30年近くいるのだから1日一緒に仕事をすれば「あ、この子は出来そうだな」くらいは分かるが、せいぜいそこまで。何を何処まで任せて良いかなどは1週間くらい見なければ判断出来ない。取り合えずそのミーティングでは、当たり障りの無い仕事を新人3人に。既に数日一緒に仕事をしているラファエルとニコラには任せられそうな仕事が分かるのでその様にと、しておいた上で、翌朝来てから進行状況を見ながら、仕事を割り振る作戦にした。この方法なら必然的に仕事の速い子には次の仕事をやって貰う事になるから合理的だ。ラファエルの他にも英語が分からない子が入ってきた一方で、先の新人3人などは全くフランス語が出来ない様で、彼等同士のコミュニケーションもままならないなどの問題もある。
因みにその日当日、戦争博物館での数百人は殆どアミューズブーシュのみのカクテルパーティで5時半から7時まで。文明博物館の数百人のコースメニューは8時からと言うスケジュール。私はニコラのみ連れて戦争博物館に行き、帰ってきて文明博物館で仕事と言う忙しさだった。ジョンは週末未だ自分の店を開けているので、いなかったのだ。勿論私が時間通り戦争博物館から帰れる保障などないので(実際には最初のコースが出る時には帰っていたが)文明博物館はマイケルが残って自ら陣頭指揮を執り、マニーも残っていてくれた。この夜の調理場は15人以上いたが、グランドホールを片付けていて、気付いたらマイケルとマニーと私の3人になっていて、マイケルが「総料理長と副料理長2人の3人で後片付けってどういう事だ、これは?ええNaki!」と切れていた。もっともだが、別に他の子も遊んでいた訳ではなく、調理場の方で片付けていた筈だ。マイケルは切れたまま無線で調理場を呼び出し、同じ台詞を繰り返した為数人すっ飛んできたが(苦笑)。
週末はこうして忙しかったが、昨日の母の日には3週間余り振りに休みを貰った。母の日はレストランとして、一年で最も忙しい日だが、レストランには担当スーシェフとしてデーブと言う強力な人間がいるのだから、私が出なくても人数さえ確保出来れば問題ない訳だ。日曜、月曜と2日連続でバンケが入っていないと言うタイミングはこの時をおいてなかったので、デーブには悪いが1日ごろごろしていた。色々な用事を済ませたくても日曜ではただ休むしかない。
今日の月曜日もバンケはないとは言え、明日の400人規模のパーティの準備に追われた。明日以降はまた毎日入っている。結局忙しい中更新すると、日常の仕事の話に終始してしまうのは止むを得ないところか・・・。
188.ジューンブライドの宴会場は・・・
(5月31日更新)
結局今月全く更新出来ぬまま最終日を迎えてしまった。実は先週の月、火と殆ど奇跡的にポカッと宴会が途絶え、(週に2日休む事自体が)何ヶ月かぶりで2連休を取った。その時に更新しておけば良かったとつくづく思うが、やはりそんな時はかえってぼーっとして過ごしてしまうものの様だ。先週はそのまま割りと暇そうに見えたのだが、蓋を開けてみたら毎晩、それも大規模な宴会が入ってきた。
そんな風に前の週の時点で予約が殆ど入っていないのに忙しくなるのかと不思議に思われるかもしれないが、300人、400人と言う規模のパーティをほんの2日前に入れてくるのが日常茶飯事なのだ。日本ではちょっとあり得ない・・・と言うか人口の多さや、場所の少なさから不可能と言って良いのではなかろうか。そのまま1日として宴会の入っていない日は無く、それどころか昼、夜合わせて毎日7件から10件程度は大小合わせて入っており、朝から晩まで仕事と言う日々が続いてきた。実はこの更新は5月31日と言いながら、本当は翌6月1日に書いているのだが、今晩は6時に上がらせてもらったので多少時間がある為だ。
今日から6月1日。宴会場にとっては最多忙のジューンブライドの季節だから、今晩も当然暇である筈はない。戦争博物館に160名と100名のビュッフェが合わせて2件。文明博物館に300名ほどのコースメニューが入っていたのだが、今日はデーブが残ってくれて、ジョンと共に戦争博物館を仕切ってくれ、文明博物館はマイケル自身が指揮を取る事にして、私に休みをくれたのだ。多少無理しても全員順番に休める所は休もうと言う事らしい。昨晩は逆にマイケルが帰り、ジョンは1人で、科学技術博物館に小さなケータリングがあったので、私が1人でこれまた300人程のコースメニュー他を仕切ったが、これもその方針の一環だ。しかし昨日「Nakiは明日休んで良いよ」と言われての事だが、朝9時から夕方6時までは今晩及び明日の準備で仕事をしていた訳で、これを休みと言うなら公務員やサラリーマンの多くは毎日休んでいる事になってしまう(苦笑)。
6月は流石に前もって予約が詰まっているので、先の予定は見え易いが、毎晩10件前後の新しい契約書のコピーを持ち帰り、ミザーンプラースの計画表を英語、フランス語で作ったり、変更された予約をチェックしてアップデートしたりと、帰宅してからも皆から「宿題」とからかわれる程忙しい。
今日も夜は休みと暢気に構えていたらもう1時過ぎか・・早速またその作業に取り掛からなくては。