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ケベック州の厨房から

(エッセイ自体がケベック州の厨房からの生の記録ですが、ここではケベック州の特に食に関するこぼれ話を中心に)


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1.ジビエの話から(更新2006/04/18)

ケベック州の厨房から...などという御大層なタイトルを付けてしまって、ケベック州で活躍する私など足元にも及ばないような日本人シェフ達からクレームがつきそうだ。もっともそういう人達がどんどんWebで発信してくれればこんなページを作るまでも無く私自身そういったサイトの訪問者の一人として「へえー」とか「ほう」とか感想を述べる立場の方がいい。
まあ、とりあえずジビエの話から始めてみる。Gallery(写真2写真3など)を見ていただくといかにケベック州では当たり前にジビエが一般家庭の食卓にまで上っているかが分かるだろうし、essaiの方を先に見てくれた方は飛び出し鹿を車で撥ねたり、熊がゴミ箱を荒らしに来たりという私の環境を予備知識としてもっておられれる事と思う。
ジビエ=野禽獣と聞いて貴方は何を連想されるだろうか?やはり猪鹿蝶...いやいや猪、鹿、鳥類なら鴨と言った所が日本ではポピュラーなところでは無いかと思う。次いで他の鳥類、兎ぐらいか。フランスでもそう事情は変わらないと思われるのだが、これがカナダ、ケベックとなると大分違ってくる。元々野生動物の楽園であったこのカナダに何でも料理してしまうフランス民族が移り住んできたのだからたまらない。私もカリブー(野生のトナカイ)、エルク(大鹿)、バイソン(水牛)などは良く使うが、この地のジビエの幅広さはそんな程度ではない。私が住んでいるのはケベック州としては最も南の方だが、領土の大半を占める北部は北極地方、総面積は日本の4.4倍という州なのだ。当然動物の種類も一通りではない。勿論無断転載する訳にいかないのでここでは紹介できないが、ジャン ポール グラッペ氏というケベックの料理学校教授が書いた“Gibier,à poil et à plume”(野禽獣、毛皮と羽毛)という本にはPhoque(アザラシ)やCastor(ビーバー)Ours(熊)などの解体部位写真や、それぞれの部位のお勧め調理法が詳しく書かれていたりする。ビーバーや熊はこの辺でよく見かけるが、流石にアザラシは見かけない。もっとも最近は日本の川に進出したりしているらしいが、それはそれで環境の変化を予想させて恐ろしい。まあ私としては今のところ料理した事がないし、是非料理してみたいとも思っていないが。
さて、そんな事よりやはりこのページを訪れた方が知りたいのはケベック風フランス料理としてのジビエの使い方ではないかと思われるので、少しその事に触れたい。基本的にはやはりフランス料理の技法で作られるわけだが、ケベック伝統料理としてまず思い浮かぶのはTourtière.ミートパイだろう。これは使う肉に制約が無いので子羊なども使うが、カリブーや鴨など何でもいい。それぞれの肉に合う味付け、例えば子羊なら香辛料をきかせちょっとスパイシーに仕上げたりするが、ジビエとなると鴨なら脂肪分を含ませしっとりと作ったり、カリブーなら甘めの味付けで乾燥果実をいれてもいい。このトルティアに限らず、ジビエを料理する上でケベック、カナダ的特長をだすにはローカルな材料を使っていく事になる。例えば北米大陸以外には殆ど無いと思われるクランベリー、カナダを代表する産物であるメープルシロップなども鹿だのカリブーだのには合う。
このページではいづれ具体的なケベック料理のレシピもたまに載せようかと思っているのでそのうちジビエのレシピをお目にかける事もあるかもしれない。とりあえず本日はここまでにしておく。

2. 皿の構成(更新2006/06/29)

エッセイ自体がケベック州の厨房から...的な内容であって、このコーナーと明確な区別がつきにくい為全然ここは更新していなかったが、今回はケベック、カナダの一般的なメインコースの皿の構成を先週から始まったばかりのル.ムーラン.ウエイクフィールドの新メニューを例に取りながら説明してみたいと思う。日本では今でも肉と魚と両方のメインコースがコースに組まれる事も多いが、こちらでは大抵肉、もしくは魚の一皿をメインコースとして供する。又エッセイで紹介したようにお任せというのはこちらでは成立しづらい事情があるので、基本的にはアラカルトでそれぞれ前菜、メインコース、デザートを選んでお客さん自身がコースを作るというのが、どこのレストランでも普通だ。メインコースは肉、魚貝類の他ベジタリアン メニューも最低一つは用意しておかなければならない。さてそのメインコースの皿だが、主役となる肉や魚貝類の付けあわせとして野菜などが付くのは当然だが大体においてfeculent(でんぷん質の野菜)とその他の野菜は区別して表記されたり、サーヴィスの人達によって説明されたりする。つまり「付け合せの野菜は?」と聞かれて「ジャガイモの~」という答えが返ってくるのはかなり不自然で「feculentはジャガイモの~、野菜は~」と分けて言う。feculentになりうるのはどういうものかと言うと、芋類は当然として、米、クスクス(硬質の小麦粉を粒にしたもの)、ポレンタ(とうもろこし粉の粥)、大麦、キノア(実がそばに似たアフリカ産のアカザ科の植物、この実が食用)パスタなど実に多用だ。下記にあげるのが今回の新メニューに使われているfeculentの例だ。その他の付け合せの野菜についても詳しく表記するレストランもあるが、ジョルジュ ローリエ シェフの場合、その時一番おいしい野菜を使いたいので、細かくメニューには記さない。又下記のメニューの中にfeculentが含まれて無いものが結構あるのを発見されるだろう。カナダの他の地域(ケベック以外は全て英語圏)に比べると、フランス系のケベック州ではfeculentは必須ではないようだ。

*赤玉葱のリゾット、アーティーチョークのグリル、春野菜、チェリートマトのロティ添え。
 これはベジタリアン用のメニューでリゾットが主役であるから全体がfeculentそのものだ。
*ブラックタイガー海老のソテー、ワイルドライス添え。ソース ブールブラン。
 ワイルドライス(イネ科の多年草)を普通の長粒種の米を炊いた物と合わせたもの。これを中心に海老を回りに配し、王冠の様に盛る。
*兎のメダイヨン、ローズマリーマスタード焼き、バルサミコ酢ソース。ほおずきのコンポート、金糸瓜添え。
 これは金糸瓜(熟果を半分に割ってローストすると果肉が麺状に剥がれる)をスパゲッティに見立てて、feculentに代えている。
*doré(カマス、スズキ系の淡水魚)のクミン風味パン粉付きポワレ。パンのプディン、サフラン風味添え。シェリー酢と分葱のソース。
 パンのプディンは余りもののパンを再加工してプディンに仕上げるリサイクル的なものだが、オレンジの果汁と世界一高価なハーブ、サフランをふんだんに使って、仕上げはぐっと贅沢になっている。因みにここで言うパン粉の方は単なる余りもののパンの粉と言う意味ではなく、日本のパン粉(その名もpanco)を取り寄せてクミンを混ぜた物を使用している。
写真4
*鶉のフォワグラ詰め、野菜のナポレオン添え、ヴィダリア玉葱のソース。
 ナポレオンとは野菜などを何層にも重ねたもので、ここでは三層のポータベロ茸の間に玉葱とピスタチオをマーマレード状にしたものを挟み込んだものをfeculentの代わりにしている。写真5
*鹿のあばら肉、夏瓜のロースト添え、赤スグリとローズマリーのソース。
これもfeculentを添えず、その代わり、付け合せ野菜の一つである一口大の夏の瓜を強調している。勿論その他の野菜もふんだんに添える。
*子羊のすね肉、バジリコとトマト風味煮込み、ハーブのリゾット添え。
これは説明の必要は無いであろう。
*牛のトルネード グリル、グリル野菜とエリンギ茸のソテー添え、マスタードソース。
肉がグリルだから付け合せもグリルと言う訳で、野菜はグリルに限定。北米の夏らしくバーベキューの雰囲気な一皿である。エリンギ茸の弾力のある歯ごたえがfeculentの役割を担っている。
*シェフのお勧め
これはシェフ ソーシェである私か、シェフ、スーシェフなどその日の料理の最高責任者が考える日替わりメニュー。

以上だ。夏のメニューらしく野菜が結構前面に出ていて、ソースもさっぱり系だ。冬の間はウイスキーのソースとかブランデーのソースとかそうとう重厚であったが、圧倒的に酸味の強いソースが主流となっているのがお分かりいただけたと思う。補足するような事があれば、随時エッセイの方で書いていきたいと思っている。

3.肉の焼き方(更新2006/10/15)

肉の焼き方...と言っても何も北島亭の北島シェフのような肉焼きの名人の向こうを張って高説を披瀝しようと言う訳ではない。お客さんから見た肉の焼き方。つまり、レアとかウエルダンとか言うあれだ。フランス語でレアはsaignant,(セニャン)、ミディアムはà point(ア ポワン)、ウエルダンはbien cuite(ビヤンキュイ)だが、はて?ミディアム レアとかミディアム ウエルダンは何と言うのだろう...と旅行会話フレーズ集などを見て疑問に思った人はいないだろうか。セニャンとア ポワンを合わせてセニャン ア ポワン....勿論そんな妙な言葉は無い。
実はフランスに行って肉を焼いてもらう時は上記の3つの焼き方にプラスしてbleu(ブルー)と言うレアより更に生に近い焼き方の4種類しかないのだ。かつてヨーロッパで生活し、フランスやベルギーに頻繁に訪れていた頃はよくそれで戸惑ったものだ。
しかし北米の人は全般的に焼き方にうるさい。ミディアムレアより、ちょっとレアにして欲しいとか、ミディアム ウエルダンと注文してもお客さんのイメージの中でウエルダンの方に近いのか、ミディアムの方に近いのかにわかには判断しきれない。
フランス語圏のケベック州と言っても北米の一部である以上例外ではない。余談だがケベック州最大の都市モントリオールを称して北米のパリと呼ぶ人が多いが私は賛成できない。むしろフランス語圏のニューヨークというイメージだ。フランス語を母国語としていてもケベック州にはやはり隣国アメリカの影響が強い事は否定できない。もっとも州都のケベック シティは多分にヨーロッパの香りがする町だが。
話が横道にそれた。このコーナーはエッセイではないのだから本論に戻るが、フランスのフランス語にミディアム レアとかいう言葉が無い以上。ケベックでは英語のミディアムの部分だけを借用してミディアム セニャンとかミディアム ビヤンキュイとか言う造語を使用している。
先日アメリカから来たお客さんにピッツバーグ ステーキ風に焼き上げてくれと頼まれた。恥ずかしながらピッツバーグ ステーキなるものを知らなかったのだが、まず肉をしばらく室内の常温にさらしておき、フライパンに油も引かず煙がもうもうと立ち上がってから一瞬にして周りを真っ黒に焼き上げ、中は完全に生、つまりblueのアメリカ版みたいだが、周りはあくまでも茶色ではなく墨のように真っ黒になっていないと駄目だと言う。うちの店で出しているステーキはフィレ ミニョンだからレアが一番おいしいので、中が生なのはいいのだが、旨みを閉じ込める為に周りにしっかり焼き目を付けるというレベルを遥かに超えている。無論頼まれた以上そのように焼いたが、流石アメリカ....なのか?
この「ケベック州の厨房から」のコーナーあまりにも長い事更新してなかったので、何だかこぼれ話みたいになってしまったが一応。

4.2007年夏、昼のメニュー(2007/07/30)
日加タイムスの色本編集長から取材を受けるにあたって日本語の解説付きメニューを用意したので、ここに紹介しておきます。

 

 

お昼のメニュー

<お昼のメニューはバーでお出ししているメニューと共通である為、レストランの前菜としてもワインのお供、おつまみとしても通用する事を前提として作りました。>

前菜

本日のスープ $6

(ホテルのお客様は当然連日召し上がる事が前提ですから大抵はその日の朝に新しいスープを作るように心がけております)

 

*緑野菜の取り合わせサラダ胡瓜とアンディーブのジュリエンヌ、カラマタオリーブ、シシリア風オリーブ、トマトと赤玉葱のサルサ。自家製ドレッシング添え $8

(カラマタオリーブはギリシャが原産でフルーティなオリーブ。シシリア風の方はややスパイシーです。サルサは元々スペイン語、イタリア語でソースを指す言葉で、当然火入れして作る物も含まれますが、ここでは和食で言う丘合わせのように火を入れないで合わせたという意味でこの表現を使っています)

 

*シーザーサラダ。ニンニク、緑胡椒、ベーコンとエシャロットのサルサ,ローズマリー風味のクルトン、チェダ-チーズの煎餅添え $10

(有名なシーザーサラダですが、ロメインレタスの形を残し、お客様に皿の上で再構築していただこうという趣向です)

 

大西洋岸産鮭の自家燻製。赤玉葱のマーマレード。ローズマリー風味のトースト、バルサミコとブルーベリーの2種類のソース添え $9

(新鮮な鮭に軽く燻製をかけたもので、これは以前から当ホテルのスペシャリティとして存在するもので、昼夜を問わず提供させていただいております)

 

*山羊のチーズの春巻きと牛餃子のコンビネーション。2種類の漬け汁添え    $8

(山羊のチーズに香草とレモンをあわせたものを春巻きの皮に包んだ物と、自家製和風餃子の組み合わせ。春巻きには赤ピーマンのソース、餃子には醤油と白バルサミコ酢を掛け合わせたソースを添えております)

 

*鴨のコンフィと若ほうれん草のサラダ、ケベック産フェタチーズ、洋梨、乾燥クランベリー、ローストしたアーモンドのスライス添え,オレンジ、カレー風味のドレッシング  $15

(他の前菜に比べて高価な印象が有りますが、粗塩と香草に一晩つけた後、鴨の脂肪でじっくりと火入れしたメインの一皿として提供可能な鴨の腿を丸々一つばらし、夏のメニューらしくあえてサラダ仕立てに仕上げた物です)

 

一口メンチカツ、チリ味の茶そば添え $14

(アルバータ産トリプルAの最高級フィレ肉にヘルシーな野菜を加えたメンチカツにちょっとスパイシーな茶そばをサラダ仕立てにした物を添えた物です。茶そばのサラダは人気があるので夜の前菜であるホタテの天婦羅にも添えており、Menchi-katsuもその名が従業員に浸透するほど内輪受けしています)

 

*日替わりアンティパスト $12

(イタリア語で前菜を指すアンティパストですが、ブッフェ用に仕込んだサラダ、ハム類、チーズ、日によってはテリーヌや燻製の魚など7~8種類の前菜を盛り合わせたワインのお供に人気のお得な一皿です)

 

自家製のフライドポテト籠 $6

(需要があるので、これも鮭の燻製同様前のメニューからの引継ぎで外せまん)

 En raison de la nature éclectique du menu informez votre serveur des allergies SVP

<前菜と同様メインもバーで提供しておりますが、前菜はおつまみとして終日お出しさせていただいているのに対し、メインは5時まで。後はダイニングでのお食事を勧めさせていただいています。その為、サンドイッチも2種類用意させていただきました。>

メインディッシュ

 

*アヴォカド、トマト、レタスとマイルドな燻製チーズのサンドイッチ、乾燥トマトのピストゥーマヨネーズ。サラダ、もしくはフライドポテト添え  $12

(乾燥トマトのピストゥーは乾燥トマトにニンニク、オリーブオイル、バジルをすりつぶして加えたプロヴァンス風の薬味です)

 

若鶏の胸肉と生ハムのクラブサンドイッチ、ケッパーと粒マスタードのマヨネーズ。サラダ、もしくはフライドポテト添え。$13

(もう一つのサンドイッチは特に人気の高いクラブサンド。パンにはフォカッチャを使用しております)

 

豚のコートレット、スパイス仕立て。薩摩芋のサラダとルッコラ添え。トロピカルソース。 $19

(元はこのセクションには一品はやはりこの地方の名物であるジビエを出したかったのでバイソンを置いていたのですが、安定供給が難しくて断念。ミディアムの焼き加減で十分いただける良質の豚にあえてスパイスを利かせたもの。最初はシンプルな林檎のソースにしてみたのですが、どうしてもスパイスに負けてしまう感じがして、林檎の他にマンゴー、桃、パイナップルにココナツミルク、野菜の出汁を加えたトロピカルなソースに変えて、ようやく人気が出てきました)

 

 

*牛の味噌漬け、和風ラタトゥーュ添え  $20

(牛の骨付きあばら肉を西京味噌に漬け込んでおき、これ香味野菜、香草と共にフォンドヴォーを加えてとろとろになる寸前まで蒸し煮にした和洋折衷の一品です。料理の過程で使ったフォンドヴォーからデミグラスソースを作り、漬け込みに使った味噌を加えてソースにしました。付け合せの野菜も醤油を加えていてかなり和風の味付けになっていますが、これは会議でオーナー、総料理長から是非とリクエストされた為意識してそうしています。)

 

*アラスカ産岩魚のグリルとカレー風味のシーフードサラダの組み合わせ、ニンニクとレモンのアイヨリソース。  $16

(小ぶりの岩魚のフィレをグリルにしたものと、小エビ、小帆立貝のサラダとのコンビネーションです。アイヨリは細かくすりつぶしたニンニクを多量に入れた南フランスの一種のマヨネーズです。)

 

ポルタベロ茸の温製。グリル野菜とボッコンチーニ チーズとルッコラのサラダ添え。 $14

(特にベジタリアンのお客様を意識して作ったもので、ボッコンチニ チーズは一口大のモッツアレラ チーズの一種です)

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5.ある日のブッフェメニュー(2007/09/20)

 

 

Buffet du jour

(本日のブッフェ)

 

Soupe

Potage de roquette et sésame.

                                                (ルッコラと胡麻のポタージュ)

 

Salades froid(冷製サラダ)

Tomate cerise.(プチトマト)

Concombre.(胡瓜)

Artichaut.(アーティーチョーク)

Carotte julienne.(人参の千切り)

            Tabbouleh(クスクスのサラダ) 

Mélange de six légumineuses.(6種の豆)

 

Sandwiches(サンドイッチ)

                                  f rôti, oignon rouge caramelisé,et fromage de cheddar.

         (ローストビーフ、赤玉葱のカラメリゼとチェダーチーズ)

Pizza(ピザ)

                                               Filet de basa avec suce aigre-douce asiatique.

Basa(鯰に似た鱗の無い魚)とアジア風甘酢ソース

 

Deli(冷製)

Saumon poche en Bellevue(鮭のゼリーがけ、ベルヴュ風)

Charcuteries(ハムなどの盛り合わせ)

Légume grillé(野菜のグリル)

Crudité de légumes.(生野菜の盛り合わせ)

 

Olives, pickles, cornichon, moutarde Dijon, raifort.

      (オリーブ、ピクルス、ディジョンマスタード、西洋山葵)

 

Station chaude(温製)

                  Viande;Cuisse de canard,sauce bigarade.(鴨の腿肉、ビガラードソース)

                  Poisson;Filet d’éperlan et fruits de mer à la nage(きゅうりうおと海の幸のナージュ仕立て)

                  Féculent;Pommes de terre rôti au ail(ローストポテト、ニンニク風味)

                  Légumes;Choux fleur, haricot vert, et carotte(カリフラワー、インゲン等).

 

En raison de la nature éclectique du menu informez votre serveur des allergies SVP

6.日加タイムス掲載記事全文(2007/10/31)
(原文のまま)
人 ケベック州の名ホテル「ウエイクフィールド・ミル・イン」副料理長
征矢夏樹(そやなつき)さん(取材・いろもと のりこ)2007年(平成19年)10月5日号
最近カナダでも、日本人のフランス料理シェフの活躍が目立ってきている。
「こんなところに日本人シェフが働いているんだ」と驚くことしばしば・・・。
オタワからケベック州ガティノーに渡り、HWY105を30分ほど北へ行ったウエイクフィールドの由緒あるホテル「Wakefield Mill Inn=Le Moulin」の副料理長、征矢(そや)夏樹さんもそのひとり。
9月21日号で紹介した「蒸気機関車=スチームトレインの旅」で名前が知られるようになったとはいえ、ウエイクフィールドの地名さえ、おそらく知っている読者は少ないのではないだろうか。
征矢さんがこれまで歩んできた料理人人生をうかがってみた。
学生時代から料理に興味
征矢さんは1963年、東京生まれ。東京農業大学付属高校を卒業後、駒澤大学仏教学部禅学科に進んだ。料理人としては少々変わった出身、と思われそうだが、これが案外つながっているのである。
「大学の授業で勉強した『典座教訓』(禅寺の料理人役、典座について書いたもの)の影響で料理に興味を持ちました」
その影響もあって学生時代のアルバイトはずっと、飲食関係だった。
大学卒業、その年にワーキングホリデーでトロントへ。1986年、カナダと日本がワーキングホリデーの制度を実施した最初の年である。いわば、「ワーキングホリデー大先輩」ということ。
「外国に行くことは、父親がドキュメンタリー映画の監督をしていて、けっこうよく外国に出ていましたし、母親も染色関係の仕事をしていて外国に出ていたので、自然の成り行きみたいでしたね」
トロントでも当然、レストラン関係で働くため、あちこちのレストランに当たってみた。幸い当時ダウンタウンにあった「レストラン・ルーンズ」で見習いとして採用された。
考えてみると、ここで働いた経験が征矢さんの今日につながっているのである。世の中、人のつながりで動いているといわれるが、まさに征矢さんの場合もそうだった。
ヨーロッパから再びカナダへ
1988年、日本に帰国。1年後に今度はヨーロッパへ。
「当時ドイツにあった『ドイツ日本館』という民間のレストランに採用されたのです」
ここで日本料理を学び、さらにこの間にヨーロッパ各地をまわって各地の料理事情に触れた。
4年後、今度はイギリス・ロンドンへ。「オールド・ソーンズ・ホテル」の飲食部門の主任として働くことになった。
ロンドン滞在中の1996年、トロントで働いていた「レストラン・ルーンズ」のオーナーシェフだったパート夫妻と再会したのである。
「この時に彼らがケベック州チェルシーに新しいレストランをオープンするので来ないか、と誘われました」
レストランの名前は「Les Fougeres=レ・フジェール」。チェルシーはオタワから車で20分ほど北へ行ったところ。
「レ・フジェールで働くことになった征矢さんは、いきなりパティシェ部門のシェフをまかされた。
「たまたまその部門しか空きがなかったんです。パティシェは未経験だったし・・・。独学で勉強しました」
そのかいあってか、「レ・フジェール」は1997年度のグローブアンドメール紙が選ぶカナダ全国フランス料理レストランの中で2位に選ばれた。
2年後、永住権ビザ申請のため日本に帰国。約1年間、お台場の「ホテル日航東京」で働く。
そして再びカナダへ。「レ・フジェール」に戻り、パティシェから他の料理部門のシェフを任せられる。
メニューに和風を加えて
ガティノーにあった1922年創業の大型老舗フランス料理店「カフェ・アンリー・ブルジェ」が、2004年にこの店の全シェフ総入れ替えをした。この時に征矢さんは出張、宴会料理担当シェフとして迎えられる。
ちなみに総料理長は、テレビなどでおなじみのジョルジュ・ローリエ氏。しかしローリエ氏は1年あまりでこの店をやめ、ウエイクフィールドのイン「ウエイクフィールド・ミル(フランス語名はル・ムーラン・ウエイクフィールド)」の総料理長となった。
ローリエ氏の引きで、2005年、征矢さんも同インで働くことになった。征矢さんは現在、副料理長として調理場で采配をふるっている。「カフェ・アンリー・ブルジェ」は昨年、閉店したそうだ。
征矢さんは週に1日、今でも「レ・フジェール」で働き、腕をみがいている。
「ウエイクフィールド・ミル」の料理は基本的にはフランス料理だが、メニューにところどころ和風テイストがうかがえる。たとえば、ランチメニューで「ひと口メンチカツ、チリ味茶そば添え」「牛の味噌漬け、和風ラタトゥイュ添え」など。そのほか春巻き、ぎょうざ、カレー風味などアジアンテイストも加えている。
メニューに征矢さんのアイデアが自由に入れられるほど、信頼されているということだろう。
「日本に比べて、カナダは上下関係が厳しくないですから働きやすいですね」。反面、仕事ぶりがわるければ、さっと切り捨てられる厳しさもある。
また、カナダ人客と日本人客のちがいを、「カナダ人は好みをはっきり主張します。肉の焼き方でも人によって『ミディアム』の加減が違うのですが、気に入らなければやり直し、ということがあります」。
カナダ人にフードアレルギーや偏食の人が多いというのも驚いたという。
「ある時、塩をいっさい使ってはいけない料理を作らなければならなくて、この時は苦労しましたね」
以前、「レ・フジェール」でウエディングのパーティがあったとき、たまたま花嫁が日本人だった。チョコレートケーキに「寿」と書いて喜ばれたそうだ。
歴史的建造物のホテル
ここで、征矢さんの職場であるホテルの歴史を簡単に紹介しよう。
ウエイクフィールドは名前でもわかるように、ケベック州でありながら英語名である。最初の入植者がスコットランド人だったからである。今から170年くらい前のこと。現在でも英語で話す人が多いのはそのためだそう。
ウエイクフィールドにはガティノーリバーに流れるペーシュ川がある。
最初の入植者はこの川のそばに製粉用水車小屋を建てた。その後、ダムの上に自宅兼ゲストハウスを建築。その家が現在「マクラーレン・ハウス」として残っている。
その後、水車小屋は経営者によって7階建てのアパートメントに改装されたり、飼料工場用水車にになったり、博物館になったり・・・。
現在のホテルになったのは2001年のこと。オーナーのロバート・ミリング&リン・ベルツィオーム夫妻が歴史的建造物である概観を残して、改築、改装したのである。客室26室の「ウエイクフィールド・ミル」は見事に生まれ変わった。観光客のほかに結婚式や会議にも利用されている。
最近はスパも好評のようだ。ハイスピードインターネットやテレビの衛星放送も完備している。
なかでも征矢さんが副料理長として力を発揮している料理部門の人気が上々で、これまでにいくつかの賞を受賞している。
* * *
「ようやく軌道に乗ったホテルですが、職場の雰囲気も良く、やりがいがあります」
ホテルでは征矢さんはファーストネームのナツキのツを省略して、「ナキ」と呼ばれ、皆に親しまれている。
「これまであまり、日本人に接するチャンスがありませんでしたが、これからは日本人の料理人さんたちとも交流をはかりたいと願っています」
カナダ各地で活躍する日本人シェフの中のひとりとして、征矢さんの今後を期待したい。
{ホテルの問い合わせ}
1-888-567-1838
www.wakefieldmill.com

7.ケベック日系料理人協会発足にあたって。(2008/06/17)

QJCACJQ   ケベック日系料理人協会

QUEBEC’S JAPANESE COOK ASSOCIATION

ASSOCIATION DES CUISINIERS JAPONAIS DU QUEBEC

 

 

 

 

 

第1回会合のお知らせ

 

日時:616日(月)午前10時~午後1

場所:モントリオール日系文化会館

8155 Rousselot, Montreal, Quebec, H2E 1Z7

 

 

 

 

 

会長からの挨拶  

 

移民の国カナダにおいて、経験の如何を問わず、職を得やすい業種の一つとしてレストラン業界が挙げられています。

特に、母国語以外でのコミュニケーションが難しい人にとっては、同邦人が多く集まるこの業界で、安易に料理人という職に就こうとする例が多いことも事実だと思います。

カナダの経済成長と共に増え続けてきたレストラン業界ではありますが、内情は慢性化した技術不足、またそれを補うために、必要人数以上のスタッフで構成され、コミュニティの場になってしまっているのが現状ではないでしょうか?

しかしその反面、自己の技術向上に日々たゆまぬ努力を注いでいる方も多くおられます。

私自身、そういった向上心を持った料理人同士が集まって主張していく場が必要性であると、年々、強く感じてきました。

今回、そんな思いにご賛同頂いた料理人、もしくはそれに携わる方々と、こうやって新しい料理人の協会が発足できる運びになりましたことを、心から嬉しく思っております。

ありがとうございました。

 

 

               2008年 6月12日

                                   鈴木 喜信

 

 

 

 

1、協会の名称

日本語名 ケベック日系料理人協会(QJCACJQ

    英語名     Quebec`s Japanese Cook  Assosiation

仏語名     Assosiation des Cuisiniers  Japonais Du Québec

 

 

2、目的       

①料理の普及と発展

②各々の国の食文化もしくは習慣に尽いての理解と交流

③料理界に関する多岐ジャンルからの視点の勉強会

④料理人の立場からする社会への貢献

 

 

3、組織

①非営利団体とする。

②本部を儲けケベック州を3ないし4つのブロックの支部に分けそれぞれに代表者をおく。

 

 

4、活動

①年一回以上のイベントを行う。

②一定期間をもって会報を発行する。

料理に関わる業界とのスポンサーシップを図る

④料理教室などを開き、一般の人たちに料理の知識と技術を普及する。

⑤日本料理に限らず、他国の料理人たちとの技術交流の勉強会を持つ。 

 

 

5、会費

 ①月10ドル 年120ドル) 

  原則として、小切手にて年会費を一括納入のこと

  小切手送付先Michiyo Koyanagi10300 Laverdure Montreal  Quebec H3L 2L4/514-510-3186

 

 

6、本部

・料理協会会長   鈴木喜信

・副会長      池松純一

・副会長      征矢夏樹

・広報部      小柳美千世

         イリス

 ・理事       鈴木宇子 

           関谷有樹子

        リノ コーテ

地区別

    ・モントリオール地区会長        池松純一

        製菓会長   関谷有樹子

・ケベック地区会長      鈴木喜信

・オタワ・ガチノー地区会長  征矢夏樹

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